2年目に何を変えている?チームを見極める「梨田マジック」の真髄に迫る!
- 2017/7/11
- プロ野球
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近鉄監督就任2年で6位→優勝へ 梨田采配の何がスゴイの?
近鉄、日ハム、そして楽天。2017年も優勝となれば、自身が率いた3チーム連続で優勝に導いたことになる。しかも全て2年目で達成。梨田采配の真髄とは一体どういったものなのでしょうか?
パ・リーグ史上初快挙!前年最下位→優勝
2000年、梨田監督は大阪近鉄バファローズ監督デビューを果たします。まずは就任前年からの順位推移を見てみましょう。
- 1999年 6位 首位とのゲーム差23.5
- 2000年 6位 首位とのゲーム差15.0(就任1年目)
- 2001年 1位 2位とのゲーム差2.5(就任2年目)
最下位にいたチームを、あっという間に優勝まで導いてしまいました。この1年で何が起きたのでしょうか。
戦略① 磯部選手を捕手→外野にコンバート!
就任1年目、梨田監督は磯部選手を捕手として使っていました。
しかし、守備に難があること(盗塁阻止率リーグワースト)、打撃がピカイチであることに注目し、2年目は外野にコンバート。もともと打撃力のあった選手ですが、この年は5番打者として大活躍。(打率.320 17本塁打 95打点)
要因② できないならやらない!チームの長所を伸ばす采配
まずはこの数字をみてください。
チーム防御率
1年目 4.66(リーグ4位)→ 2年目 4.98(リーグ最下位)
チーム盗塁数
1年目 68盗塁(リーグ5位)→ 2年目 35盗塁(リーグ最下位)
驚きの数字です。もともとチームのウィークポイントが、優勝時にはさらに悪い成績になっています。つまり、優勝時近鉄は「守れない、走れない」チームだったのです。
ではなぜ勝てたのか。それは
「とにかく打ったから」です。
そしてチーム打率&本塁打&打点がリーグトップ
6人が2桁本塁打。40本超2人(大村16、ローズ55、中村紀46、磯部17、吉岡26、川口21)
ちなみに2桁盗塁は0でした。
今度はつなぎの野球!ファイターズ時代
近鉄合併後は一度野球評論家となりますが、2008年に北海道日本ハムファイターズの監督として現場復帰をします。そして2年目の2009年には優勝。ここでの梨田采配に迫ります。
要因① ここでも再び!長所を生かす采配
近鉄時代は圧倒的な打撃力でリーグを制覇しました。それを継続するかと思いきや、ここではスパッと戦略を変えます。
この年の日本ハム打線の特徴は「繋ぐ、走る、守る」。つまり2000年の近鉄打線とは真逆の戦略をとります。数値を検証してみます。
チーム防御率
1年目3.54(リーグ1位)→2年目3.65(リーグ1位)
チーム盗塁数
1年目 79盗塁(リーグ4位)→2年目 105盗塁(リーグ3位、成功率1位)
要因② 積極的な配置転換
- 高橋信二選手を捕手→一塁手へコンバート
- 打者転向して実績のなかった糸井選手を抜擢
- 1年目不動のクローザーだったMICHEAL選手をトレードで放出(二岡選手、林選手が巨人から加入)
- 抜けたクローザーに武田久選手を抜擢
- 若手捕手の大野選手を積極的に起用。鶴岡選手との捕手2人体制。
要因③「いやらしい」打線の組み方
ここがさすが捕手出身と言ったところ。相手投手の嫌がる打線を組みます。この年の打線を、見てみましょう。
2009年の基本オーダーです。
1田中(左).283 3本 49打点 31盗塁
2森本(右).247 1本 29打点 9盗塁
3稲葉(左).300 17本 85打点 1盗塁
4高橋(右).309 8本 75打点 7盗塁
5スレッジ(左).266 27本 88打点 1盗塁
6小谷野(右).296 11本 82打点 7盗塁
7糸井(左).306 15本 58打点 24盗塁
8鶴岡(右).211 1本 29打点 1盗塁
9金子(右).304 14本 66打点 6盗塁
「ジグザグ打線」1−8番までキレイなジグザグ打線か構成されています。これなら相手先発投手の左右に影響を受けにくいですし、何より継投が難しくなるので、相手投手コーチは頭を悩ませたことでしょう。
「恐怖の9番 金子 切れ目のない打線」さらに見ると、3,5,7,9番に長打力のある選手を並べています。特にこの年話題となった「恐怖の9番打者」金子誠選手は、クリーンアップを打ってもおかしくない成績です。梨田監督はこの打順によって切れ目のない、どこからでも点を取れる打線を完成させました。
梨田監督の「見極め力」
いかがでしょうか。2チーム連続で2年目優勝を成し遂げた梨田監督ですが、2つのチームで全く違う戦略を用いています。
しかし共通していることは
「チームの特徴を見極めて、2年目には勝てるチームにする」
ということです。
近鉄にせよ日ハムにせよ、元々そのチームが持っているポテンシャルを最大限に生かし、力を引き出せるのが梨田監督なのではないでしょうか。