名将それぞれの個性
野村ID野球(ID:Important Data)
ID野球とは、経験や勘に頼ることなく、データを駆使して科学的に戦略を立てていく手法で、野村監督がスワローズの監督であった時に提唱し広めました。そして「野村再生工場」と言われ、活かす場を見いだせず埋もれてしまっている選手の力を引き出し活躍させる手法が一時クローズアップされました。
まず何よりミーティングに長い時間を使うこと、そしてその形式も非常に独特のものであり、野村監督が延々と講義しながらホワイトボードに板書し、選手はノートをとって試合前やオフ時間に見返す、というものです。打球カウント別の打者・投手・捕手心理がその講義の中心で、カウントパターンに合わせた野村の緻密な独自理論は、のちに指導者になるような選手にとっては戦略としての野球の面白さを教えてくれた貴重な時間だったと言われています。
落合「オレ流」野球
「勝つことが最大のファンサービスである―」
と公言し、しかしそのためには何をしてもいい、というわけではなく、他球団の強力な主軸をマネーゲームで取ることはせず、自チームの選手を育成して勝利するということを目指すスタイルです。そのため、監督就任時は「この1年は補強を凍結し、個々の選手の能力を10%底上げして日本一を獲る」という公約を掲げ、補強は控えました。
試合中は常に無表情で感情を表に出さず、選手交代を告げる時とマウンドに行く時以外はベンチ奥で腕組みし足を組んで座ったままほとんど動くことはなく、好プレーをした選手や本塁打を打った選手を迎えることもしませんでした。これは、ひとつひとつのプレーに一喜一憂して感情を見せると、選手が監督の顔色をうかがうようになって相手チームとではなく味方ベンチと試合をしてしまうようになる、という思いからでした。
そのため、選手の個人名を出して批判することはほとんどしません。これは選手の家族まで批判を浴びたり影響を受けることへの配慮からです。
そして試合後のコメントは短く、落合監督のコメントを掲載する新聞の「オレ流語録」のコメントもほとんど一行です。チーム事情を記者経由で相手チームに漏れてしまうことを警戒していました。
2007年の日本一をかけた日本シリーズ第5戦で、8回表まで完全試合投球を続けていた先発の山井投手を9回表に岩瀬投手へ継投させた采配には、他球団ファンも含めて賛否両論が巻き起こったほどでしたが、球団として53年間達成できなかった日本一を成し遂げました。
そして翌年2008年のシーズンで、山本昌投手が完投で通算200勝を達成した際には先述の日本シリーズの件を引き合いに
「代えられません。日本シリーズとは違います。日本シリーズはチームの記録。今日のは本人の記録です。」
と、チームへの思いと個人への思いを打ち明けました。
それぞれの違い
- 野村監督の「長時間ミーティング」、落合監督はミーティングなし
- 落合監督の衝撃的なひと言「選手の首を切ることが私の仕事」
- 身体を使って覚えさせた落合監督
- マスコミにしゃべる野村監督しゃべらない落合監督
- 心理戦で優位に立った落合監督の秘密厳守
- 「極秘資料」と銘打っておきながら、翌日マスコミにしゃべる野村監督の老獪さ
- 先読みの上司・落合監督
- 「今」だけでなく「先」のことを考えている両監督
- チャンスは必ず与えてくれる。それを生かせるか否かは自分次第
- コーチには明確な職務を与え、そこから先は一切口出ししない落合監督
- 「実力ある者」「努力している者」が正当に評価される環境
- 選手を復活させる野村再生工場、最初の処方箋は心のケア
- 落合監督が求めていたのは「エースの自覚」
- 戦わずして相手チームの「選手」と「作戦」を潰した落合監督、奇策を用いた「勇気」と「覚悟」
- リーグ優勝の勝因は「落合監督のために」と思う選手の気持ち
- 自分の栄誉のためでなく、組織と部下とファン、野球界の将来のために
名将と言われるにはワケがある
野球の世界だけではなく、多くの社会人の方々にも影響を与える名将の考え方。これからも野球界の発展のために尽力されるお二方からまだまだ得られるものは多そうです!
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