「俊足を生かす」よりも「出場機会を求め」転向
スイッチヒッターというと日本では俊足巧打のヒットメーカーを想像するかもしれません。名球会入りを果たしている柴田勲選手(元巨人)や首位打者を獲得している正田耕三選手(元広島)などが代表例です。日本人選手で唯一の30本塁打を記録したのは松井稼頭央選手(楽天)です。
しかし、メジャーリーグではスイッチヒッターのホームランバッターが数多くいます。今回はスイッチヒッターでありながらホームランを量産する選手をご紹介します。
スイッチヒッター唯一の三冠王:ミッキー・マントル
【メジャーリーグ通算成績】
2401試合打率.298/536本/1509打点/153盗塁(18年)
ニューヨーク・ヤンキースのレジェンドであるミッキー・マントル選手はスイッチヒッターでした。ヤンキース一筋のマントル選手は18年の現役生活で4回のホームラン王を獲得しています。また、1956年には史上唯一のスイッチヒッターによる三冠王を達成しています。
マントル選手が残した通算536本というホームランはスイッチヒッターとしては現在もメジャーリーグ記録となっています。そして背番号7はヤンキースの永久欠番となっています。
ブレーブスの英雄:チッパー・ジョーンズ
【メジャーリーグ通算成績】
2499試合/打率.303/468本/1623打点/150盗塁(19年)
アトランタ・ブレーブスで19年の現役生活を過ごしたチッパー・ジョーンズ選手もスイッチヒッターでした。日本にもやってきたアンドリュー・ジョーンズ選手と長らくチームメートで14年連続の地区優勝に大きく貢献しています。
チッパー・ジョーンズ選手は通算で468本のホームランを放っています。これは、スイッチヒッターとして歴代3位の数字です。ホームラン王のタイトルは獲得していないものの毎年30本前後のホームランを放ち、2008年には首位打者を獲得しています。引退のシーズンも打率は.287を記録しており、ファンからは「まだまだやれる!」といった声があがったほどです。
チッパー・ジョーンズ選手もアトランタ・ブレーブスでつけていた10番が永久欠番となっています。
カリブの怪人:オレステス・デストラーデ
【日本通算成績】
517試合/打率.262/160本/389打点/42盗塁(5年)
日本でもホームランを量産したスイッチヒッターがいました。デストラーデ選手が西武に入団したのは1989年のシーズン半ばでした。打率.257ながらも、ホームランを量産し83試合の出場で32本塁打を放ち、クリーンアップに定着します。この年の西武は3位に終わりますが「開幕からデストラーデが所属していれば優勝間違いなし!」とも言われていました。
翌1990年は開幕から大爆発しホームラン、打点の二冠王を獲得。西武の優勝に大きく貢献します。
同時期に活躍していた日本のスイッチヒッターは屋鋪要選手(大洋)、正田耕三選手(広島)、高橋慶彦選手(広島)などホームランバッターはおらず俊足ヒットメーカー達でした。デストラーデ選手が日本におけるスイッチヒッターの新たな印象与えたと言っていいかもしれません。
スイッチヒッターのホームラン打者は誰?
MLBにはまだまだスイッチヒッターのホームラン打者がそろっています。メジャーリーグのホームラン打者を紹介します。(現役選手の記録は2015年終了時点)
【現役選手】
- カルロス・ベルトラン(ヤンキース)通算392本塁打
- マーク・テシェイラ(ヤンキース)通算394本塁打
【引退選手】
- ランス・バークマン(アストロズ他)通算366本塁打
- エディ・マレー(オリオールズ他)通算504本塁打
- バーニー・ウイリアムス(ヤンキース)通算287本塁打
- レジー・スミス(レッドソックス他)通算314本塁打
バーニー・ウイリアムス選手やレジー・スミス選手はホームラン打者というよりは中距離打者ですが、長く現役を続けたこともあり、数多くのホームランを放っています。
俊足の選手がスイッチヒッターに挑戦することの多い日本と、俊足の選手だけでなく、パワーのある選手もスイッチヒッターに挑戦することの多いメジャーリーグ。そこには、今回紹介してきたような長距離スイッチヒッターのレジェンドたちへの憧れや、日本に比べて格段に選手が多い環境で、左右どちらの投手でも出場機会を得て、選手間の競争に勝ち抜くためといったような要因があるでしょう。また、選手の自主性や個性を尊重する指導方針も関係しているかもしれません。
現在はホームランの打てるスイッチヒッターの少ない日本ですが、今後「長距離スイッチヒッター」は出てくるでしょうか。楽しみに注目したいですね!
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