評価が難しい『抑え投手』どこに注目すべき?セイバーメトリクスで分析する守護神

  • 2016/2/4
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セーブ数?防御率?どの指標で評価するべきか

ストッパーというポジションは、チーム状況や登板した場面によってセーブ数や防御率に大きな差が出るため、正確な実力を計る事が難しいポジションだと言えます。

例えばこの二人の投手

  • 松井裕樹 63試合3勝2敗33セーブ防御率0.87
  • 山﨑康晃 58試合2勝4敗37セーブ防御率1.92 15’新人王

この2人のどちらが良いストッパーと言えるのでしょうか?防御率で判断すれば松井投手、セーブ数で判断すれば山﨑投手の方が良いストッパーということになりますが、この基本的な情報だけで判断することは難しいです。

そこで、メジャーリーグで積極的に活用されている「セイバーメトリクス」の指標がヒントにすることができます。今回はストッパーや中継ぎ投手を評価する時に役立つセイバーメトリクスの指標を集め、セ・パ両リーグのセーブ王3投手と、侍ジャパン入りした3投手を数値を出してみてみました。

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WHIP(1イニングあたりに出す走者の数)

WHIP=(被安打+与四死球)/投球回

走者をよく出す投手は防御率が良くてもいつか失点する可能性が高いです。

  1. サファテ 0.63
  2. 山﨑康晃 0.87
  3. バーネット 0.89
  4. 松井裕樹 0.90
  5. 増井浩俊 1.05
  6. 呉昇桓 1.15

防御率で比べると大きな差があった松井投手と山﨑投手は、WHIPではほぼ同等という評価になりました。1イニング限定の登板が中心となる抑えの投手。その安定感を測る指標として、WHIPは非常に有効であると言えるでしょう。

 

K/9(9イニング投げたとしていくつ三振が取れるのか)

K/9=(奪三振÷投球回)×9

三振を奪うこと。それは、ヒットやホームランはもちろん、フェアゾーンに打球を飛ばさせないことでエラーやポテンヒットの確率は下がり、副作用的に球場の雰囲気を盛り上げる効果もあります。奪三振力は抑え投手にとって、大切な能力となります。

  1. サファテ 14.2
  2. 松井裕樹 12.8
  3. 増井浩俊 10.65
  4. 山﨑康晃 10.54
  5. 呉昇桓 8.57
  6. バーネット 8.04

高校時代から「ドクターK」の異名を取って来た松井投手が12.8と高い数値を残しました。また、バーネット投手とサファテ投手は近い成績(41セーブ・防御率1点台前半)にも関わらず、K/9の値が大きく違うのは投球スタイルの違いといえるでしょう。

 

K/BB(四球を与えるまでにいくつの三振を奪うのか)

K/BB=奪三振/与四死球

流れを悪くする四球を出さず、奪三振を重ねことができる総合力の高さはWHIPと同様に重要だと言えるでしょう。この数字は高いほど良いとされています。

  1. サファテ 7.29
  2. 山﨑康晃 6.00
  3. 呉昇桓 4.13
  4. 増井浩俊 3.74
  5. 松井裕樹 3.68
  6. バーネット 2.95

松井投手は奪三振の能力は非常に高いのですが、四球が多いため、K/BBの数値は抑え投手の中では低めになりました。また、レッドソックスの上原浩治投手は、世界一に輝いた2013年に11.22という、歴代のメジャーリーグの抑え投手にも引けを取らない、抜群の成績を収めました。

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ゴロアウト:フライアウト比率(投球スタイルを表す指標)

ゴロを1とした場合の、ゴロとフライの比率

  1. バーネット 1:0.58
  2. 山﨑康晃 1:0.60
  3. 増井浩俊 1:1.02
  4. 松井裕樹 1:1.24
  5. サファテ 1:1.67
  6. 呉昇桓 1:1.93

バーネットや山崎康晃のようにタテに大きく落ちる変化球を決め球とする投手はゴロアウトの比率が高い傾向にあり、逆に呉昇桓やサファテといったストレートを決め球とする投手はフライで打ち取るという傾向があります。

 

圧倒的な数字を残したサファテと、更なる可能性を秘める山﨑康晃

パリーグのセーブ王・サファテ投手は、「走者を出さず、四球が少なく奪三振も取れる」まさに絶対的守護神といえるでしょう。しかし、今回取り上げたセイバーメトリクスの4つの指標のなかで、サファテ投手に次ぐ素晴しい成績を残していたのがDeNAの山﨑投手です。K/9の数値こそ高くありませんが、四球が極端に少ない安定した技術でK/BBは高い数値をたたき出しています。

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セイバーメトリクスで投手を分析してみると、新たな発見が数多くあります。ぜひ、他にもいろんな選手のセイバーメトリクスをご覧になってみてはいかがでしょうか。

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