『盗塁成功率82.91%』鈴木尚広の盗塁論とその驚きの”リスク管理” 7/3「みんなのプロ野球ファンミーティング」開催レポート!
- 2017/7/26
- プロ野球
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キャッチャーとの駆け引き
谷繁さんとの戦いを評して曰く「谷繁さんのように賢いと最初から変化球を使ったりしてくる。初球から走るのは怖いんじゃないかという気持ちを逆手にとってくる」。代打と同じで、初球から仕掛けるというのは心身ともに入念な準備ができている証拠だそう。そこを凌ぎ合う、一瞬のスキも許されない超一流の駆け引きの世界。
先述のレジェントシートで谷繁さんから「わざとサインを見せて走らせる。そして刺す」という話を聞き「『うわっ汚ねぇ。。』と思いました(笑)。やっぱスゲーなと」。
確かに、ランナー位置からキャッチャーのサインが見える場合があるというが、見えると球種が分かるので走りやすくなる。実際、鈴木さんが、後輩がいいスタート切ったときなどに理由を聞くと「(サインが)見えたので変化球だと思いました」という答えが返ってきたりする。クセを見るのもサインを見るのも技術の一つなのだ。
ちなみに、なにがなんでも刺したいと思っている若いキャッチャーほど配球が一辺倒になってしまうので走りやすいらしい。ランナーが出た途端、外に構えるキャッチャーは分かりやすい。球種が限られてしまうので「あ、ちょっと外しにきてるな。様子見ようかな」と読めてしまう、とのことだった。
ピッチャーの分析と準備
ピッチャーの分析にももちろん余念がなかった鈴木さん。中継ぎ・抑え・先発ピッチャーhごとに様々な指標(何球くらい投げる人なのか、完投能力ある人なのか、など)で分類していたという。マウンドにピッチングコーチが出て来た時点でピッチャーが交代するかどうかは全部読めた上に、ビジターの球場でテーマソングが流れた瞬間に誰かも把握できるほどの熟知ぶりだったとのこと。
さて、盗塁の資質と聞かれたら、あなたは何と答えるだろうか?足の速さ?反射神経?心理戦スキル?
鈴木さん曰く「一歩を踏み出す勇気」。そのために相手を調べ上げ、自身の身体スピードを常にベストに保つ準備をし、そして何より大事なのは、自分がそこで出ると思った時に、準備を間に合わせられるかどうか、だという。監督に指示されたときにベストでいける状態を作る。指示待ちではなく采配を読む。自分が監督になったつもりで考えて先読みしておかなければならない。「行け」と言われてそこから準備するような受け身ではダメなのだ。
刺すのが上手いピッチャーとその対処法
ピッチャーはランナーを強く警戒するピッチャーと、キャッチャー任せの走られてもいいと考えるピッチャーとで大きく分かれ、クイックや牽制がうまくないと、盗塁は狙いやすくなる。など、ピッチャーによっても走りやすさはだいぶ違う。
話は、クイックが速い久保選手の話に。鈴木さん曰く「彼はクイックが速すぎますね」
そして、攻略のヒントを語る。「彼は長く持った時は牽制してこないんですよ。長く持った時に走れば100%成功します。牽制自体は上手くないんで。それでもクイックが速いので、盗塁を試みる人は限られるけど、彼は長く持てば持つほど牽制してこない。ちょっと今度見てみてください」
牽制がすごく上手いのは藤田宗一選手。「藤田さん、賢いんで、最初ゆっくりな牽制するんですよ。相手を油断させて、その後の速い牽制球ででアウトっていうのをよく見ます。僕はそういうの頭に入ってたんで、取られなかったんですけど、最初にエサを撒いてくるんです」
鈴木さんは一点を争う場面で出場するので、「絶対にアウトになってはいけない」という責任を強く受け止め、その準備を「リスク管理」と呼ぶ。ここまでやって、盗塁成功率82.91%という数字が出せるのである。
会場のファンからクライマックスシリーズで、田中健二郎選手から受けた牽制死についての感想を求められた時も、「あれは普段彼が見せたことのない牽制だったので、とっておきだったのかもしれない」と冷静に分析し、「そのとっておきを知らなかったことが僕の敗因」と語っていた。
実は左ピッチャーの方が走りやすい
右ピッチャーと左ピッチャー、どちらの方が走りやすいのだろうか。一般的には左の方が走りにくいイメージがる・・・?
鈴木さん曰く「左ピッチャーの方が走りやすいです。右ピッチャーは顔が見えないので何考えてるのかわかんない。背中で判断しなきゃいけない。左ピッチャーの方が走りやすいです」
左ピッチャーに対しては、牽制球をわざと投げさせるように仕向けていた鈴木さん。左ピッチャーに対峙した際にランナーが感じる見られている恐怖を逆手にとり「投げてきていいよ」という雰囲気で挑発した方が左ピッチャーが焦るのだという。じーっと見つめていると「ん?」というわずかな胸騒ぎがピッチャーに発生する。その一瞬のスキをつく。もちろん、挑発に乗るピッチャー/乗らないピッチャーがいるので、それも事前に研究しておく。
ビデオやベンチでの練習
鈴木さんがやっていた練習方法の一つに、テレビ越しでのシミュレーションがある。テレビの前で実際自分も構えて、牽制が来たら帰る、打者に投げたらスタートを切る、という反応の準備を行う。試合中のベンチでも、座りながら、ランナーがスタートする瞬間は自分も右足を反応させたり。客席から見えないものの、実はこうした反応の練習を常に繰り返していたそう。そして、塁上に立ったら何も考えないようにするというのだ。まさに練習の積み重ねで辿り着く無我の境地である。
歩数を数える
ウサインボルトが100m走る時、歩数が決まっているように、鈴木さんの塁間の歩数も決まっている。11歩ないし12歩くらいで、体調の変化で変わるという。スライディングは右足でしかしないと決めていて、リードする幅も最初から決めている。
会場でリードの実演をする鈴木さん。そのリード幅の広さに会場がどよめく。
「テレビだと遠目からテレビカメラで撮ってるんで、これだけ大きいってなかなか皆さん思わないんですよね」
「右ピッチャーの場合は牽制の球速が速い。牽制する際のターンの動作に対する反応が全てです。一瞬でも遅れるとアウト。左ピッチャーって全身の1/4くらいの力しか使えないので、牽制の球速自体は速くない。だから出れるんですよ。」とさらにリードを広げる鈴木さん。
「投球モーションが大きいピッチャーの時は、スライディングなしで帰塁する。るんるん♪って感じ」と、スキップ気味のお茶目な実演に今度は会場が笑いに包まれた。
以上は一部ですが、こんな盗塁論をた〜っぷり聞けたこの日のイベント。
当日はそれ以外の、様々なトピックのぶっちゃけ話も色とりどりに咲いていました。
<トピック例>
・巨人低迷で鈴木さんの巨人復帰はあるのか?
・FA補強をチームの選手はどう感じている?
・鈴木さんが一度も刺されたことのないピッチャーは?
・クイックが下手なピッチャーは?
・由伸監督はクールなの?
・カンチョーが好きな選手は?
・ファンからの手作りプレゼントは困る?!
・各球団の食堂のご飯はどこが美味しいの?
クールなイメージだった鈴木尚広さんは、会場でとても快活なトークを繰り広げていて、その気さくなキャラにちょっとびっくりしました!時折挟む辛口なコメントに会場も大盛り上がりでした。
今回のイベントページはこちら
http://boost-inc.jp/bfm/
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