「燃えるものを探している」黒田博樹を突き動かすもの.赤き魂の言葉を振り返る
カープ残留 〜 現役続行
2016年、現役続行の道を選んだ黒田博樹投手。その契約額は、球界最高年棒となる6億円でした。
「いつも言っているように、いつ壊れてもいいので、その気持ちだけは来シーズンも変わらない」
40歳になってもなお、全身全霊を込めて投げ続ける黒田博樹投手。その原動力とは何か。今回は、アツい言葉とともに、黒田博樹投手の2006年からの動向を辿ってみました。
2006年 カープ残留
「広島市民球場でカープの選手を相手にボールを投げることが想像出来なかった」
黒田投手は2006年、当時広島の絶対的エースとして活躍し、この年にFA権を取得します。日米多くのチームが黒田投手の去就に注目していました。しかし、黒田投手の決断は広島への残留。この決断の背景にはスタンドで声援を送ったファンの熱い想いがありました。
「10月14日、16日のスタンドを見て最後はあれが自分の中では大きかった。他球団のユニフォームを着て広島市民球場でカープファン、そしてカープの選手を相手にボールを投げることが想像出来なかった」
2007年 メジャー挑戦を発表
翌年2007年はチームトップの12勝をあげるも、チームはBクラス。
「黒田の勝ちたい気持ちを叶えさせてあげたい」
孤軍奮闘する黒田投手に対し、ファンからも声があがり始めました。この年に黒田投手はメジャー挑戦を発表します。
「カープに育ててもらったと思っている。たくさんのファンの方にも応援してもらった。感謝の気持ちでいっぱいです」
会見では目頭を熱くさせ、このように語りました。この決断が黒田投手にとって簡単なものではなく悩みに悩み抜た苦渋の決断だということがわかります。
「僕は広島から来たと思っている。日本に帰るなら、カープが僕を必要としてくれるのであればカープに帰るのが当然。日本に帰るということは広島に戻るということ」
「ワクワクする気持ちはほとんど湧いてこなかった。戦地に行くつもりでアメリカに行く。4年間もそんな苦しいことはできない。『苦しい時間』が短い方が自分は頑張れる。3年間できちんとした成績を残せれば、4年目に同等かそれ以上の契約を交わせるはずだ」
ドジャース入団当時、広島カープへの熱い想いと強い決意を語っています。その後、黒田投手はドジャースとヤンキースで日本人初の5年連続2ケタ勝利を達成します。メジャーの舞台においても実力を発揮し、安定したピッチングで年々メジャーでの評価も高くなっていきました。
2014年 カープへ電撃復帰
「ファンにもう一度自分のユニホーム姿を見せたい」
2014年オフ、黒田投手は古巣への復帰を決めました。
「悩み抜いた末、野球人生最後の決断としてプロ野球人生をスタートさせたカープで、もう一度プレーさせていただくことに決めました」
多くのメジャー球団から多額のオファーが来るほど評価されている黒田投手。毎年、メジャー球団と複数年契約ではなく単年契約を結ぶのはいつでも広島に戻ってプレーできるようにするためだと言います。広島側も背番号15を空き番とし、海を渡ったその日から黒田投手の復帰を待ち続けました。メジャー球団からの20億円を超える高額オファーを蹴り、推定4億円の広島への復帰。お金では揺らがすことの出来ない黒田投手の「男気」。この熱い想いに多くの野球ファンが感動しました。
2015年 現役続行
現役続行か引退か。シーズン終了後、黒田投手の去就に注目が集まりました。
「野球人生で最高のモチベーションで帰ってきた。燃え尽きた」
「完全燃焼。来年も同じ気持ちでマウンドに立てるのか。燃えるものを探している」
シーズン終了後、黒田投手はこう口にしました。広島に復帰後、24年振りとなる優勝の期待を一身に背負い投げ続けた1年。男気あふれる1球1球に大歓声がおくられました。しかし、広島はリーグ4位という結果でシーズンを終えました。
これが黒田投手が現役引退か続行か決断する大きな理由となりました。そんな揺れる胸中のなかでの現役続行という決断。決め手となったのは「ファンへの想い」でした。真っ赤に埋め尽くされたマツダスタジアムでマウンドに立つ黒田投手を待っているファン。年齢的にも体力的にも厳しい、燃え尽きた、例えどんな理由があれ待っているファンがいるならばマウンドに立ち続けなければならない。これが黒田投手の「燃えるもの」なのかもしれません。
シーズン最終戦終了後から62日目、
「来季もやります」
と短い言葉で球団に覚悟を伝えました。
広島カープ 25年ぶりの優勝へ
25年ぶりの優勝を狙う広島にとって、黒田投手の現役続行は最高の補強となりました。成績のみならず広島の若手へ与え続けた影響は計り知れません。黒田投手の現役続行が若手を含めた選手たちの大きなモチベーションとなります。「選手とファンの気持ち」その歯車が噛み合った時、真っ赤に埋め尽くされたマツダスタジアムで歓喜の輪が広がっているかもしれません。
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