隠れた名ショートは誰だ?守備率・失策数だけでは計れない「守備力」を考える
- 2017/9/4
- プロ野球
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今流行りの守備指標は?
「1番守備が上手いのは誰?」野球談義をする中で、一度は話題に上がったことがあるのでは?しかし、その答えは打撃に比べてかなりのばらつきが見られます。打率や本塁打数、OPSなど明確な指標が多数存在する打撃と違って守備には、「コレ!」と言った絶対的な指標がないことが一因でしょう。強いて言えば「失策数」や「守備率」が話題に挙げられますが、守備範囲が考慮されないこれらの指標は万能とは言えません。今回はさまざまな守備指標を紹介した上で、守備の要であるショートに焦点を絞って比較していきます。
守備に関する指標で長年に渡って使われてきたのが、単純なエラー数である「失策数」、そして守備機会から失策数を引いてパーセンテージ化した「守備率」でした。守備率のランキングを並べると、以下のようになります。
※2017年9月3日時点で、試合数×2/3出場者のみ。()内は失策数。
【セ・リーグ】
1 坂本 勇人 (巨) 試117 .988(7)
2 京田 陽太 (中) 試118 .980(12)
4 倉本 寿彦 (デ) 試119 .976(13)
5 田中 広輔 (広) 試123 .975(15)
【パ・リーグ】
1 今宮 健太 (ソ) 試117 .989(5)
2 安達 了一 (オ) 試90 .986(6)
3 三木 亮 (ロ) 試78 .982 (5)
4 中島 卓也 (日) 試90 .977(9)
5 源田 壮亮 (西) 試119 .977(14)
セ・パともに、2016年のゴールデングラブ受賞者の坂本選手(巨)と今宮選手(ソ)が1位となっています。一方、WBCに内野の控えとして招集された田中選手(広)や西武のルーキー、源田選手は少々厳しい数値となっています。
守備範囲の広さがわかる「捕殺数」
しかし近年、守備率は守備範囲が考慮されないため、指標として不完全だという声が挙がっています。そこで参考にしたい指標が、「補殺」数です。補殺の定義は以下の通りです。
「アウトが成立した場合、これ に至る過程で、送球を行ったり、あるいは打球や送球の方向や速度を変えるなどして そのアウト成立を補助すること」
主に以下のようなケースが該当します。
- 内野手がゴロを捕球して1塁に送球してアウトにした
- 外野手がフライを捕球して、遊撃手との中継プレーでホームをアウトにした。(外野・遊撃両方に補殺が記録されます。)
この指標ならば、完全とは言えないまでも守備範囲が考慮されるでしょう。では先程のランキングを、補殺数で並べ替えてみると・・・
【セ・リーグ】 ※()内は、最多出場者に合わせて調整した数字
1 坂本 勇人 (巨) 試117 386(259)
2 田中 広輔 (広) 試123 406
3 京田陽太 (中) 試118 396(233)
4 倉本 寿彦 (デ) 試119 343
【パ・リーグ】
1 今宮 健太 (ソ) 試117 311
2 安達 了一 (オ) 試90 276(249)
3 三木 亮 (ロ) 試78 196(204)
4 中島 卓也 (日) 試90 259(223)
5 源田 壮亮 (西) 試119 410(221)
セ・リーグは守備率と同じく坂本選手(巨)が抜群の数字を残しています。また、守備率では最下位だった田中選手(広)がかなり良い数字を残していることがわかるはず。守備範囲が広いゆえに難しい打球に追いついた結果、失策につながってしまうパターンも多いのでしょう。
また、パ・リーグも補殺数では今宮選手(ソ)1位を獲得しています。しかし、75試合換算にした場合、安達選手(オ)の数字が群を抜いています。そして失策数は最多だった源田選手(西)も健闘しているといえるでしょう。
近年流行りの守備指標UZRとは?
さらに最近は、「UZR」という指標が主流になりつつあります。これは、「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を示すもので、打球の種類(バント・ゴロ・外野へのライナー・外野へのフライ)や速度(遅い・中間・速い)などを考慮して算出するものです。
失策数や補殺数が、他者に影響されない「絶対的数値」であるのに比べ、UZRは他選手との比較で変動する「相対的数値」であるという点が非常に画期的です。算出する企業によってばらつきはあるものの、より現実に即した指標といえるでしょう。
ゴールデングラブの選出基準も変わる?
ゴールデングラブ賞の選出は記者による投票で決まります。そのため、守備率・印象で決められる傾向があり、実際に選出された選手と、日頃から観戦しているファンの感覚にずれが生じることがありました。特に守備率に差が出づらい外野手部門は、印象で決まる傾向が強かったと言えます。
今後、補殺数やUZRなどのデータがさらに一般的になるようであれば、より納得がいく選出になっていくかもしれませんね。
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