競技人口減で野球の未来が危ない?!あなたにも知ってほしい野球界の取り組み
小学生〜高校生の野球人口が激減している
筆者が小学生だった頃、男子生徒のクラブ活動といえば野球かサッカーだった。老舗の野球に対し、Jリーグ開幕でサッカーが勢いをつけてきた頃であった。時を同じくし、『スラムダンク』でバスケットボールも盛り上がりを見せていたが、勢力としてはまだ野球・サッカーの2強には敵わないといったところだった。しかし、現在、小学生の甥っ子によると、ここ最近はサッカーかバスケが人気らしい。「野球は?」と聞くと、「その次かな〜」との返答。なんと、2強の座を明け渡したのか?!
数字を見てみよう。高野連(高校野球連盟)が毎年発表している野球部員数が、2017年、前年から6,062人・3.6%の減少を見せた。新入部員である1年生は、5,111人・5.4%の減少だ。これまで高野連が出すデータは、女子部員が含まれていることや、他の部活からの助っ人が含まれている可能性などが指摘されつつも、数字自体はほぼ横ばいだっただけに、野球界への衝撃は大きい。
そして、中学校の軟式野球人口は激減の一途を辿っている。中体連(中学校体育連盟)の調査によると、軟式野球人口は2009年の30万7,053人を境に減少を続けて、2016年は約12万人減の18万5,413人となっている。実に4割弱の減少である。もちろん、少子化によって、中体連全体の加盟数も減っている。男子生徒数で8.8%減となっている。しかし野球の減少はそれどころではない。対するサッカーは、ほぼ横ばいの数字を見せ、競技人口も野球を逆転した。
全日本軟式野球連盟に登録の小学生のチームも、最近5年間で200チームほど減少している。
TV中継が見られなくなり空き地もなくなり、もう身近ではなくなってしまった野球
中学校での野球の競技人口の減少率は、少子化による子供の減少率よりも高い。つまり相対的に野球を選ぶ子どもが減っているということだ。
原因は様々にあると考えられる。スポーツにおける選択肢の増加もそうだろう。しかし、こと野球においては、テレビでの野球中継が激減し、これまでのように身近な存在ではなくなってしまったと言われがちだが、果たしてそうだろうか。
在京キー局地上波の7局のテレビでの中継試合数を見ると、確かに減ってはいるものの、全く見られない訳ではないことが分かる。
衛星放送や、有料チャンネルを考えるとむしろ以前より選択肢は広がってると考えられるだろう。つまり、野球放送が寡占的でほぼそれしか選択肢がなかった状態から、視聴者が自らの趣向に合わせて選択できるようになった状態というのが正しいだろう。受動的に視聴していた状態から能動的に選ぶ状態になったという意味では“身近”ではなくなったと言えるかもしれないが、身近に置こうと意識すれば置ける状態ではある。
しかし、子どものプレー環境という意味では、空き地が減少し、ボールが公園で使えなくなり・・と身近にプレーできるスポーツでなくなってしまったことはあげられるだろう。確かに、そのような環境になっている実感はある。筆者の近所の公園でも、柵に囲まれた球技コーナーはあるものの、バットの使用は禁止されている。のび太くん(『ドラえもん』)や中島くん(『サザエさん』)が野球をした空き地を身の回りで見ることもない。一体少年たちは、どこで野球をやればいいのか・・?
自由に野球ができなくなり、TVで受動的に野球を観ることもなくなった少年たちに、何をきっかけにして野球を好きになれというのだろうか?